クリニックにおける接遇

著者:玉城有紀

クリニックにおける接遇

なぜ医療に接遇が必要なのか

研修の目的

私達のクリニックでは、スタッフへの接遇教育を徹底しています。
企業では当たり前のように行われている接遇を、医療現場でそのまま当てはめる事ができないのが事実です。
医療スタッフの対応として求められているものは、患者さんの気持ちに寄り添った思いやりのある言葉です。
そのため、医療現場で求められる接遇という特殊性を踏まえた研修を行うことが必要です。
スタッフの温かい表情と優しい言葉がけに患者さんはほっとした気持ちになります。
「用事があれば患者さんから声をかけてくるはず」ではなく、自ら周囲に気を配り、患者さんの動きを把握する事を意識して行動しましょう。
クリニックは患者さんにとって《本当は行きたくないけど、仕方がないから行く場所》です。だからこそ、スタッフの笑顔が大切なのです。

なぜ医療に接遇が必要なのか

「医療に接遇?」と違和感を覚える方もいるかもしれません。
そのため、なぜ医療スタッフが接遇を学ばなければいけないのかを理解する必要があります。

医師として必要なスキルとして真っ先に思い浮かべるのは、専門領域の知識の豊富さでしょう。
しかし患者目線で考えると、知識豊富というだけでは必ずしも信頼が得られるとは限りません。

患者さん自身がクリニックに来てどのような思いをしたかという、感情面でのクリニックを評価する傾向にあります。
特に近年は、スマホで病院を検索する患者さんも増えて来ており、口コミでの評価が拡散するスピードが速く、影響力がとても強くなっています。
事実、問診票の「当院をどのように知りましたか」の回答で「口コミを見て」と回答する患者さんが、当院でも増えています。

患者さんの権利意識の高まりに伴い、患者さんからのクレームが増え続ける医療業界。
ネットの検索サイトの口コミを利用したクリニックへの誹謗中傷など、時代とともに変わるトラブルの内容、心構えがあります。
医療ミスはなくても、コミュニケーションがうまくいかずに訴訟に至る調査結果(実は医療訴訟の40%が実際に医療ミスはなく、コミュニケーション不足によるもの)があります。
私たちの患者さんに対する接遇が良くなれば、患者さんの満足度が上がり、同時に医療リスクの管理も出来ていくと思います。
クリニック受診を考える際、ネット検索は欠かせないため、クリニックがこの被害にあうと死活問題になりかねない状況となっております。。
2006年には、東京大学病院でも<接遇向上センター>が設置され、医療現場での接遇の大切さが問われています。
「この病院を選んでよかった。」と患者さんが思う病院になって行く為には、スタッフ全員が医療接遇の大切さを学ぶ必要があります。

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